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いなかの猫の天邪鬼部屋

第17話

OnAir~シーズン3・第17話~


# 漢江水辺

(階段に座ったサンウとセア...)

(サンウ、セアに口付けてゆっくり離す。セア、恐れた目に見えるような見えないような。サンウ、セアの目を眺める...)

サンウ : (立ち上がる) 行きましょう....(車の方に歩いて行く)

セア : (どきどきする胸。落ち着くために目を閉じる)...


#セアのアパート玄関前

(セア、ためらってキーを鳴らす、サンウ、黙って横に立っている。セア、ゆっくり玄関を開ける。)

セア : (緊張して) ...さようなら。

サンウ : .....はい。

(セア、ドアを開ける。サンウ、ドアの前に立つ。)

セア : (ハッ!不安な目で見る)...

サンウ : (視線下げたまま) 頼みがあります....

セア : ...??

サンウ : ...俺から逃げて下さい...

セア : (視線を上げて見る) !!!

サンウ : (セアの目を見る) ....

セア : (搖れる目)......

サンウ : ...... (淡々と見る).... 傷付けたくない...俺の目に見えないようにして下さい...

セア : (震える目)...

サンウ :.....(しばらく見て、セアに背を向けて帰って行く))

(セア、玄関にもたれたまま消えるサンウを見る....)


#サンウの部屋

(サンウ、椅子に座って考える。ため息をついて両手で顔を包む...)


#セアの部屋

(ベッドの上に座ったセア。膝に顎を乗せたまま、眠れずに夜が明ける...)


#遅い朝、ギョンミンとヨンウンの寝室

ヨンウン : (ベッドに起きて座る) は...(首をゆっくり動かす) 疲れた...

ギョンミン : (入って来る) 起きたのか?もう少し寝ていても...

ヨンウン : 何時?

ギョンミン : (鏡台の上の時計を見て) 10時。

ヨンウン : (淡く笑う) は...私みたいな嫁もいないわよね。うちのお母さんもダメな嫁だったけど...

ギョンミン : (ヨンウンの前に座って微笑む) 君は世の中のどこにもない、ただ一人だけだよ。

ヨンウン : (見て笑う) あなたは本当に...

ギョンミン : 本当に...何だ.?

ヨンウン : (ギョンミンの顔をしげしげと見る) あらかじめ練習するの?いいえ..... あなたの頭の中が知りたいわ。どうやって耳に心地良い言葉だけを選んで話すのか...

ギョンミン : (穏かに笑う目) そうだな...多分君のためだろうな。...俺もたまに驚くんだけど...こんなふうにむずむずするような事を言う人間だったとは想像も出来なかったから..

(ヨンウン、幸せな目。軽く口付ける...)


#食卓

(対座したギョンミンとヨンウン)

ヨンウン : お母さんとチュニは?

ギョンミン : うん...チュニは今日剣道昇給審査があるから道場へ行ったよ。ママは散歩に出たし。ちょっと歩くと言って。まったく、どうせやるなら、暑いのだから、早朝にするとか...

ヨンウン : チュニの昇給審査?それ、行かないとならないんじゃない?

ギョンミン : 1時からだって言ってたな。行ってみるか?

ヨンウン : (嬉しそうに見る) そうね。

ギョンミン : だけど君は大丈夫か?二日間無理したけど.. 疲れてないか?

ヨンウン : ちょっと疲れてるけど...でも今行かないと、今度はいつ行けるか分からないもの。

ギョンミン : 食べたらちょっと休んで。ここからそう遠くないから...40分前に出れば大丈夫だよ。


#サンウの部屋

(ベッドに伏せたサンウ、日差しで目覚める。ぼんやりと見る。起きて窓を暗くし、また横になる。)


#セアのアパート

(やつれて青白い顔のセア、机の椅子に座って窓の外の空を見る。ため息をつく。)


#体育館

(観客席の前の方の席に座ったギョンミンとヨンウン、目でチュニを捜す。)

ヨンウン : (左下を示して) あそこいるわ。チュニ~!

ギョンミン : (ヨンウンの視線に従って見る) ....

チュニ : (床に座って待機中。声に振り返る。ヨンウンを発見。目をまばたかせ、そっと手を上げる)...

ヨンウン : (口を尖らせて) ん~、どうしてあんなふうに無愛想なのかしら?

ギョンミン : (苦笑) ...今のあの年齢で、この多くの人の前で何かを表現したら....それもちょっと心配だよ。

ヨンウン : (見る) どういう意味?

ギョンミン : (見る) チュニはもう12歳だ。それでなくても老成したヤツだから、他人の目を気にするようになったんじゃないか?

ヨンウン : (寂しい) そうなのかな....。もうそんな年齢なんだ....

ギョンミン : (黙ってチュニを見る).....


#帰って来る車中

(後部座席にチュニが座る。ヨンウン、チュニを感心して見る。)

ヨンウン : 今日はカッコ良かったわ。本当に誇らしかった。

チュニ : ...剣道着を着て並んでたら誰でもカッコ良く見えるよ。

ヨンウン : (寂しい)...でもママはチュニが一番カッコ良かったと思うけど..

チュニ : よその母親逹も同じに思ってるよ。自分の息子だから。

ギョンミン : ....

ヨンウン : .... 何を食べに行く?

チュニ : このまま帰ろうよ。家で食べる方がいい。

ヨンウン : (チュニの機嫌をうかがう)....そう。

ギョンミン : (バックミラーでチュニをチラリと見る) ......


#ギョンミンとヨンウンのアパート

(ヨンウン、居間に座って洗濯物を畳む。ギョンミン、ベランダから入って来る。)

ヨンウン : 全部干した?パンパン叩いて干さなきゃダメよ。

ギョンミン : (苦笑) その程度は俺も知ってるよ。 (横に座る) 疲れないか?

ヨンウン : (見る) 疲れるわ、こんな事ばかりしていると。ちょっと休むわ。

ギョンミン : (チュニの部屋のドアを見る) チュニは...?

ヨンウン : 自分の部屋でコンピューターをしているみたい...

ギョンミン : ......


#しばらく後、ギョンミンとヨンウンの寝室

(ヨンウン、眠っている。ギョンミン、ヨンウンの顔を眺めて出る。)


#チュニの部屋

(チュニ、コンピューターでゲームをする。部屋のドアが静かに開かれる。ギョンミン、チュニを見る。)

ギョンミン : (見て、入って来てベッドに腰掛ける) ちょっと座るぞ。

チュニ : (声にそっと振り返る)...はい。

ギョンミン : ....(黙ってチュニを見守る)

(チュニ、10分程ゲームを続けてから電源を切り、じっと座っている。やがて振り向く。)

チュニ : (目を見て) ...話があるの?

ギョンミン : (チュニの目を見る)....そう...だな...。

チュニ : ...話して。

ギョンミン : .(黙って眺める).......ママに...もう少し優しくしてやれないか?

チュニ : (見る) .....(挑戦的な) それは、そもそも大人が先にしてくれないとならないんじゃない?

ギョンミン : .... ママはチュニにそうしてくれないのか?

チュニ : (後ろ向きに座る) ....

ギョンミン : (眉間しかめる) ....

チュニ : .... 僕はまだ子供だよ。大人にするみたいにしないで。

ギョンミン : (あの言いぐさが幼い?) ...ああ。時々うっかりするんだ。

チュニ : ........

ギョンミン : ママは今日疲れていたのに行ったんだぞ。チュニが少しだけ嬉しがってくれたらママは少しも疲れなかっただろうに。

チュニ : ........

ギョンミン : 俺が気に入らないなら俺に当たれ。チュニはママを愛してるだろう?

チュニ : (むかっとする) .....

ギョンミン : ママが大変なのは分かるだろう?入院も何度もしたし、もう少ししたら子供を産むからもっともっと大変になる。チュニも大変だけど、もっと大変なママのために少しだけ堪えてくれないか?

チュニ : (涙を溜める) .....

ギョンミン : (チュニの背中を見る) .... すまない。ママを奪って...

チュニ : (涙が流れる) .......

ギョンミン : (震えるチュニの肩を見てじいんと熱くなる) ....すまない。子供のチュニより俺は...ママの方がもっと心配なんだ..

チュニ : (肩が震えて声無く泣いている).....

ギョンミン : (チュニの姿に目頭が赤くなる) ....


#セアのアパート

(TVを点けて座っているセア。不安な姿。電話を持ってためらう。髪を手でとき、ため息をつく。立ち上がってうろうろする。電話を掛ける...)


#ギョンミンとヨンウンのアパート、寝室

(ヨンウンの電話が鳴る。眠っているヨンウン、聞いていない。電話の音が消える。)


#セアのアパート

(セアの不安な姿。泣きそうな。)


#サンウの部屋

(サンウ、起きて座ってぼんやりしている。しばらくして電話を手に取る。)


#ギョンミンとヨンウンのアパート

(ギョンミンの電話が鳴る。)

ギョンミン :(チュニの部屋から出て電話を受ける) はい、イ・ギョンミンです。)

サンウ : 私です。

ギョンミン : はい、無事戻られましたか?

サンウ : ..はい。

ギョンミン : どうしたんですか?今日は休日なのに。

サンウ : ...時間ありますか?

ギョンミン : ...今ですか?


#ギョンミンとヨンウンのアパート、寝室

(ヨンウンの電話がまた鳴る。ヨンウン、かろうじて目覚める。電話を手に取る。)

ヨンウン : もしもし...?

セア : ...あの、ユン・セアですが...

ヨンウン : あ....セアさん...どうしたの?

セア : ....あの、お聞きしたい事があるんです...

ヨンウン : 何?

セア : .....

ヨンウン : ...?!!!....何?ねえ...

セア : .... チン・サンウ代表の番号を...

ヨンウン : (驚いて口を開ける。声を出さずに'オモ!') ちょっと待って...


#スカッシュ場

(壁にもたれた二人、各々考え込んでいる。)

サンウ : ...

ギョンミン : ...(ため息)

サンウ : ......(ため息)

ギョンミン : (振り返って苦笑する) 何ですか?

サンウ : (横目で見る) .... 頭が痛い事です...イ監督は?

ギョンミン : 俺もです...いや、頭が痛い事ではなく.....

サンウ : (見る)....

ギョンミン : .... 心が痛いですね。

サンウ : .............


#スポーツセンター外

(歩いて出る二人、駐車場に行く。サンウ、ギョンミンを見ながら話す。笑いながら首を上げる。ビクッとする。驚いた目。)

(セア、駐車場入口に立っている。サンウを見付けて見る。淡々とした目....。ギョンミン、セアを見てサンウに視線を移す。)

(サンウ、固い顔.....)





(原作出処:sonkhj1116さんのブログ


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